プログラミング教育とは

2016年4月に、文部科学省より「2020年度からの小学校におけるプログラミング教育の必修化」が発表されました。

2020年には小学校、2021年には中学校、2022年には高等学校でプログラミング教育がスタートします。

大学入試では2024年度から、大学入学共通テストでコンピューターを使って受験する「CBT(Computer Based Testing)」方式の導入、そしてプログラミングなどの情報科目の導入が検討されています。

■プログラミング教育必修化の背景

IT、IoT、AIの技術を実現するために、今後はより多くのプログラミング的思考ができる人材が必要となります。。その一方で、今後予想されるIT技術者の不足があります。AI、ロボットの導入により、今後多くの仕事が失われると予想されています。

海外においても同様の背景があり、既に多くの国でプログラミング教育が実施されています。イギリスは、2013年9月から必修科目として、5歳から14歳が対象の教育を行っています。フィンランドでは、2016年から小学校で必修化、韓国では2015年から中学校、2017年から小学校で正式科目としています。

以上の背景の中、国内でもプログラミング学習の熱は高まっており、学校教育を先取りして、多くの学習塾が既にプログラミングコースをスタートしています。

下のグラフは「2017年子どもに習わせたい習い事ランキング」で、英会話スクールよりも上位にプログラミング教室があることがわかります。

■プログラミング教育の目的 Q&A

Q1.小学校からプログラマーになるための勉強をするのでしょうか?

A1.いいえ。
小学校の課程では、課題を解決するためにはどんな手段が必要なのか、その手段をどんな順番で実行するのが適切なのかという「プログラミング的思考」を学ぶことが目的です。
STEM(Science, Technology, Engineering and Mathematics)教育の一環です。


Q2.小学校でも「プログラミング」という科目が設置されるのでしょうか? 

A2.いいえ。
科目が増えるわけではなく、算数や音楽など現在ある科目に取り入れられます。総合的な学習やクラブ活動などにおいての実施もあります。


Q3.具体的にどんなことをするの?

A3.小学校5年生の算数の時間に、正多角形を描くことなどが例示されています。
下の画像が、プログラミングツール「Scratch(スクラッチ)」で正多角形を描くプログラミングです。

■国内でのプログラミング教育取り組み事例

プログラミング教育を先進的に進めている、小学校も増えています。

東京都の小金井市立前原小学校では、低学年向けにはビジュアルプログラミングを、高学年になるとBASIC言語などの教材を用いた教育を行っています。

■子ども向けプログラミング教材

プログラミング言語には大きく「ビジュアルプログラミング」と「テキストプログラミング」の2種類があります。

小学校では、扱いが簡単な「ビジュアルプログラミング」が主流になると予想されます。

ビジュアルプログラミングとは、命令の書かれたブロックを画面上で組み合せるだけでプログラミングが組めるものです。代表的なものに「Scratch(スクラッチ)」、「Viscuit(ビスケット)」などがあります。

これらは、小学校低学年や未就学児でも扱える学習用プログラミングツールです。プログラムの考え方が身につきます。[小学校低学年から]

テキストプログラミングは、アルファベットの専門言語で指令を書き込むものです。一般的にプログラミングと聞いて思い出すのはこちらかもしれません。入り口として「BASIC(ベーシック)」を採用する「IchigoJam(イチゴジャム)」などの教材があります。

BASIC(ベーシック)は、テキストプログラミングの入門版で、他のプログラム言語を学ぶ基礎を身につけることができます。[小学校中学年から]

その他に以下のような言語がありますが、小学生が扱うには難易度が高いものです。

・JavaScript(ジャバスクリプト)

・Python(パイソン)

・C言語

■プログラミング教材の特徴:ビジュアルプログラミング

Scratch(スクラッチ) 

代表的なビジュアルプログラミングです。下記のような特徴があります。

 ・操作が簡単なビジュアルプログラミング

 ・ダウンロード不要で、ブラウザ上で動かせる

 ・保存データはクラウドで管理し、作成したプログラム共有も簡単にできる

 ・誰でも無料ですぐ始められる

さらに2019年1月にリリースされた、最新バージョンのScratch 3.0は、iPadやAndroidの端末でも利用可能となりました。

また、拡張機能では、microbitなども制御できます。

今後、小学校の授業で主流の教材になると考えられます。

・Viscuit(ビスケット) 

ビジュアルプログラミング教材です。キャラクターを動かすなどのプログラムを簡単に作ることができ、未就学児でも挑戦することが可能です。

スマホ・タブレットではアプリをインストールして利用します。パソコンからはブラウザ上で利用することができます。ともに無料で利用できます。

■プログラミング教材の特徴:シングルボードコンピュータ

・microbit(マイクロビット) 

イギリスでは、BBCが11歳〜12歳の子どもたち全員に無償配布しました。国内でも、マイクロソフトなどによる無償提供がはじまっています。

パソコンやタブレットのビジュアルプログラミングソフトで作成したプログラムをmicrobitに転送すると、LEDを光らせたり、サウンドを鳴らしたり、外部につないだモーターを動かしたりできます。

・IchigoJam(イチゴジャム) 

キーボードとテレビを接続するだけで利用開始でき、言語プログラミングの入門「BASIC」でプログラミングします。画面の中でプログラムするだけでなく、LEDやモーターを接続して制御することも可能です。

■プログラミング教材の特徴:その他

・アーテックロボ 

ロボットや動物の姿をブロックで作り、モーターの制御で動かすことができます。電子工作とプログラミングを手軽に学べます。

・教育用マインクラフト 

ものづくりゲームのマインクラフトを、プログラミング教育・情報教育・協同学習などの教材として使えるようにした教育向けエディション。プログラムにより、建物や家具を作ることができます。

・教育版レゴマインドストーム 

レゴブロックに、各種センサーやモーターなどがセットされたキット。プログラムにより自由に動かすことができます。

・COZMO(コズモ) 

タカラトミーが販売するコミュニケーションロボット「COZMO」は、ビジュアルプログラミングソフトを使って自由に動かすことができます。

・MaBeee(マビー) 

電池の出力を制御して、プラレールやミニ四駆などさまざまなオモチャの動きを制御できます。専用アプリを使うほか、Scratchプログラミングもできます。